ビジネス2024.12.20

実社会と学問をつなぐ「商標言語学」

#商標 #ブランド戦略 #言語学 #法学

商標とは?なぜ重要?

 商標とは、商品やサービスを区別するための目印です。例えば、かじりかけのリンゴのロゴや「Apple」という名前を見聞きすると、多くの人があのApple社を連想するでしょう。このように商標は、消費者に特定のブランドを想起させる力を持ちます。また、商標が独占的に使用されることで、消費者は迷うことなくほしい商品を選べ、企業はブランド力や競争力を高めることができます。

 単なる目印として以上の機能が求められる商標は、消費者に響く効果的なネーミングである必要があります。また、法律に基づくブランド保護やブランド戦略が関わっているため、言語学や法学、マーケティングなど、さまざまな学問分野にまたがる研究テーマです。

商標が直面することばの問題とは?

 「プチプチ」「セロテープ」「ウォシュレット」。普段何気なく使っているこれらのことばは、実はすべてれっきとした商標です。「エスカレーター」ということばも、元はアメリカの企業が使っていた商標でした。商標が一般名称化すると、企業にとっては独自のブランドを維持するのが難しくなるため、大きな問題となります。消費者を混乱させるほどそっくりな商標が市場に出回った場合も、同様の問題が起こります。

 法の世界では、こうした問題を防ぐにあたり、意味変化したか、混同するほど似ているかどうかといった、線引きが難しい判断が求められます。そこへ言語学の理論や方法論を用いてアプローチしていく研究枠組みが、「商標言語学」です!

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五所 万実
専任講師

外国語学部 英米語学科

研究者になる前は、5年間、法律事務所でリーガルアシスタントをしていました。そこでの経験が今の研究分野につながっています。私の専門である「商標言語学」は、大学の科目名につけられるような体系だった学問分野ではありませんが、さまざまな分野が交差し、社会やビジネスとつながることのできる魅力的な研究枠組みだと思っています。

研究テーマ:商標の類否判断・普通名称化への言語学的アプローチ、効果的な商標案出

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