グローバル2025.1.30

「らしくない」漢文・中国文学の世界

#漢文 #中国語 #中国文学 #学問

「漢文」「中国文学」ってどんなイメージ?

 長らく漢文や中国文学史の授業に携わり、いつも見出しのようなアンケートを取っていました。すると、圧倒的に多い答えが「いいことを言う」とか「教訓が多い」です。

 なぜこんなに偏るんだろう?――そんな疑問が浮かびましたが、でも答えは簡単です。それは、中学校や高校の「漢文」の授業で、そういう例ばかりを習うからです。テキストには「良薬苦於口(良薬は口に苦し)」みたいなものが確かに多いですよね。

 しかも、「及時当勉励、歳月不待人(時に及んでまさに勉励すべし、歳月は人を待たず)」などに至っては、本来の「楽しめるときに楽しもう」という意味からはかけ離れて、「若いうちに勉強しなさい」と教えられたりしたかもしれません。

「学習」と「学問」

 実際はもちろんそんな堅苦しいものばかりではありません。たとえば抜粋ですが、「跪在床前忙要親。罵了箇負心回転身。雖是我話児嗔。一半児推辞一半児肯。」などは、土下座して仲直りをせがむ男に対し、女が「この浮気者!とののしってそっぽを向く。口では怒っているけれど、でも断る気持ちと許す気持ちが半々なのよ」と歌っています。

 どうでしょう?浮気をされた女性の複雑に揺れる気持ちが見事に表されていると思いませんか?

 つまり、テキストを見て「教訓ばかり」と思ったなら、「本当にそうなのか?」「なぜそうなのか?」と問いかけることが大事なのです。

 大学では、これまでの「学んで習う(くり返し練習する)」から一歩進んで、「学んで問いかける」ことに挑戦してください。その先にこそ、こんなおもしろい世界が待っているのです。

おススメの学問

後藤 裕也
准教授

外国語学部 中国語学科

元は高校で国語の先生になるつもりが、今は大学で中国語の先生をやっています。どちらも微妙にズレました。

専門分野は中国の白話文学、有名なところでは『三国志演義』などがそうです。小説を読むのが好きなものですから、ゼミでは今の中国の短編小説を読み、ゼミ生たちと感想を言い合って楽しんでいます。

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