外国語学部日本語・日本語教育学科 森 陽香専任講師が監修した『さらさらと書く ひらがな万葉集』が刊行されました。
『万葉集』は、現存するわが国最古の歌集です。およそ1300年前の奈良時代に詠まれた歌を中心に4516首もの歌が収められていて、その内容は、【天皇・皇族・貴族たちの歌、名もなき民衆の歌、「乞食者(ほかいびと)」と呼ばれた当時の芸能人たちの歌など、多様な人々の歌が収められていること】【奈良を中心に東北から九州まで、歌の地域が広範囲にわたっていること】【儀式などの公的な歌、恋の歌、季節や美景を詠む歌、人の死を悲しむ歌、宴会でのふざけた歌など、多様な内容を含んでいること】といった特長があります。現在の元号「令和」という言葉も、この『万葉集』をもとに考案されました。
本書は、『万葉集』の中から季節の美しさが詠まれた歌を四季それぞれ七首ずつ選び出して、それらをひらがなで美しく書けるようになることをめざす、毛筆習字のワークブックです。筆や墨の基本的な扱い方や、歌を筆でさらさらと書くためのポイントなどの解説は、書家の国分佳代さんが担当し、『万葉集』および選出された各万葉歌についての解説執筆など、本全体の監修を森が担当しました。選出された歌は季節歌が中心ですが、『万葉集』が含み持っている上述したような多様性を味わうことができるよう、さまざまな着眼点から解説してありますので、「お習字の練習本」としてだけではなく手軽な『万葉集』入門としても楽しめる内容になっています。
およそ1300年前の日本人が、四季折々、どのような風物を見てどのように心を動かしながら生きていたのか、日本文化の原点に触れてみてはいかがでしょうか。
『さらさらと書く ひらがな万葉集』
著 者 国分佳代
監修・解説 森陽香
発 行 光文社
発 行 年 月 2020年12月