日本語・日本語教育学科 金澤裕之教授が編集・執筆した『日本語の乱れか変化か―これまでの日本語、これからの日本語』が刊行されました。
ルールからの逸脱というと一般にはネガティブにとらえられることが多いと思います。しかし歴史や文化の実際の流れから見ると、それこそが新しい時代やトレンドを生み出す原動力となっている場合も少なくないのではないでしょうか。日本語における過去や現在進行中の変化を多様な面から取り上げ、ことばの「乱れ」「正しさ」「変化」といったものを、動的な視点から見つめ直してみようとする試みの論文集です。
内容は、Ⅰ.一般的なルールから見た変化(若者表現の「充実に過ごす」、「~させていただく」の過剰使用、「言う」「まわる」等の音声変化)、Ⅱ.現実の言語現象から見た変化(Jポップの歌詞に見られる逸脱、大学生の作文における逸脱、商品名における新たな表現の産出)Ⅲ.新語や慣用表現から見た変化(「食感」「夜ごはん」の発生と定着、外来語「トラブル」の基本語化、「爪痕を残す」の新用法)Ⅳ.教育や社会の面から見た変化(テル縮約形と日本語教育、国会集団語の「テレビ入り」「荷崩れ」など、言語変化と社会環境)という
大きく4つの部分に分かれ、上に挙げたような具体的なことば(言語表現)について分析がなされています。ここに挙げられているテーマや分析方法は、学部生が卒業論文を仕上げる場合などに、とても参考になるものだと思います。
- 『日本語の乱れか変化か―これまでの日本語、これからの日本語』
- 編 者:金澤裕之、川端元子、森 篤嗣
- 執 筆 者 :金澤裕之 ほか
- 発 行:ひつじ書房
- 発行年月:2021年2月