外国語学部日本語・日本語教育学科 河野秀樹准教授が分担執筆した『場と言語・コミュニケーション(シリーズ 文化と言語使用3)』が刊行されました。
文化と言語使用との関連を扱う本シリーズの中で、本巻が扱っているテーマが、「場」を鍵概念として我々の言語使用やコミュニケーションの特質を探ることです。「場」という概念にはさまざまな意味が込められていますが、個々のものや人間に還元されない、要素間の関係性を含む現象や状況の包括的把握を重要視する点を共通した理解の前提としています。河野准教授が執筆を担当した章「『場』における身体性とコミュニケーション」では、「場」を通じたコミュニケーションで我々の身体がどのような役割を果たし、そこにはどのような身体性のあり方が関わっているのかについて、主に現象学の知見にもとづいた考察が行われています。
コミュニケーションを「場」というマクロな枠組みからとらえなおすことで、要素間のやりとりの観察だけでは見えなかったコミュニケーションの側面へのアプローチが可能となること、さらに、「場」のコミュニケーションの媒体としての身体に着目することで、記号によらない、文化を超えうるコミュニケーションのあり方が論じられている点で、従来のコミュニケーション研究になかった視座が示されています。
『場と言語・コミュニケーション(シリーズ 文化と言語使用3)』
監 修:井出祥子 藤井洋子
編 集:岡智之 井出祥子 大塚正之 櫻井千佳子
著 者:河野秀樹、大塚正之、井出祥子、岡智之 ほか
発 行:ひつじ書房
発行年月:2022年1月