9月21日(月)~10月20日(火)までオンラインで「第19回日本トラウマティック・ストレス学会」が開催され、保健医療学部作業療法学科の重村淳教授が参加・発表しました。
この学会は、災害、事件・事故、家庭内暴力などによってもたらされるトラウマ(心的外傷)とそのストレス(トラウマティック・ストレス)について学術的理解を深めるための学術団体です。会員は多職種で、医師・臨床心理士・看護師など多職種が参加しています。
大会企画シンポジウム「新型コロナウイルス感染症(COVID-19)がもたらす心理的影響と対応:これまでの知見と経験から学ぶ」において、重村淳教授は「COVID-19がもたらす心理社会的現象の理解に向けて」を発表しました。
COVID-19のように目に見えない出来事では人々が不安になりやすく、その不安を和らげるために、他者に攻撃性を向ける傾向があります。その結果、差別・中傷などの心理社会的現象が起きやすいことを説明しました。
また、シンポジウム「災害時の多職種連携とこころのトラウマ対応」では企画・座長を務め、災害時のこころのケアにあたり、いかに複数の職種が連携していくかを議論しました。医師・看護師・臨床心理士・スクールカウンセラーがそれぞれの立場から発表するなか、重村淳教授は精神科医師の立場として「あらゆる脅威に対応する『こころのケア』の多職種連携」を発表しました。災害は、地震や台風などの自然災害に限らず、人為災害やテロリズムなども含みます。あらゆる脅威に専門家たちが備えて連携することが必要である、と論じました。
さらにポスター発表では、重村淳教授が共同発表者の演題「東日本大震災に派遣された陸上自衛官に対する前向きコホート研究」(筆頭演者:防衛医科大学校 精神科学講座 山崎真之先生)が「最優秀演題賞」に選ばれました。
重村淳教授の発表により、COVID-19をはじめ、人為災害やテロリズムなど、あらゆる出来事が与えうる心理社会的影響が表されました。また、それらに対して事前に備え、心理的な影響を最小限とする必要性が示されています。