保健医療学部作業療法学科の重村淳教授が論文『Mental health impact of the COVID-19 pandemic in Japan』と『新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が及ぼす心理社会的影響の理解に向けて』を刊行しました。
世界各地で猛威を振るう新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、全世界で1,332万人の感染者、57万人の死者(2020年7月15日現在)をもたらし、各方面への影響を及ぼしています。医療や経済の事情が国によって大きく異なるな中、心の健康(メンタルヘルス)への影響も地域性が反映されています。医療従事者はこの闘いの最前線で日々奮闘していますが、その過酷な業務ゆえにメンタルヘルス対策が求められています。
アメリカの学術雑誌『サイコロジカル・トラウマ(Psychological Trauma: Theory, Research, Practice, and Policy)』は、米国心理学会(American Psychological Association)が発行するトラウマ関連の専門誌です。同誌では『COVID-19の世界的な心理的影響(Global Psychological Impact of COVID-19)』という特集が組まれました。世界の計28か国から投稿が集まり、日本からは重村教授の論文『Mental health impact of the COVID-19 pandemic in Japan(COVID-19の世界的流行における日本でのメンタルヘルスの影響)』を含めて計3編が掲載されました。
この論文では、日本の人々のメンタルヘルスが社会的動向によって左右されること、医療従事者が受ける差別・中傷の問題が深刻化していること、死者率は欧米諸国と比べて低くとどまっていることが記されました。 学術誌『トラウマティック・ストレス』は、トラウマ(心的外傷)を専門とする日本トラウマティック・ストレス学会が発行する学術誌です。『新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が及ぼす心理社会的影響の理解に向けて』では、COVID-19が心身の健康だけでなく、行動・経済・社会に多彩な影響をもたらしていることを、過去の感染症流行で生じた社会現象と対比してまとめました。また、過去の感染症対策で得られた教訓を学ぶことでCOVID-19対策にも応用できることを解説しました。
なお両論文とも、COVID-19対策の一環として無料公開されています。
『Mental health impact of the COVID-19 pandemic in Japan』
筆者:Jun Shigemura, Mie Kurosawa
掲載誌:Psychological Trauma: Theory, Research, Practice, and Policy
出版年月:2020年5月(オンライン無料公開)
『新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が及ぼす心理社会的影響の理解に向けて』
筆者:重村淳、高橋晶、大江美佐里、黒澤美枝
掲載誌:トラウマティック・ストレス
出版年月:2020年6月(第18巻第1号、オンライン無料公開)