保健医療学部言語聴覚学科1年生が「言語聴覚療法基礎演習」で、現在、またはかつて言語聴覚療法を受けている(た)当事者とご家族から、ご自身の体験や言語聴覚士に望むことについてお話を伺いました。
以下3名の方からは動画でのご講義をいただきました。
人工内耳装用の20代の難聴のある方は、言語聴覚士による指導を受けて、聞こえや言葉の世界を取り戻せた、大変なこともあったが楽しく学校生活を送ることができ、現在は自分の経験を活かしてコミュニケーションに困難のある子どもを支援したいと特別支援学校の教員として働いているというお話をしてくださいました。
ダウン症のあるお子さんのお父さまは、言語聴覚士に出会い言語指導を受けてからお子さんのことばがみるみる伸びたこと、お子さんにとって言語聴覚士は「命綱」、ヘレンケラーにとってのサリバン先生のような存在、これからもずっと指導を受けたいとお話しくださいました。
また、言語発達に遅れがあったお子さんのお母さまは、言語聴覚士に出会い、自分の子どものことをより理解できるようになった、子どもの弱みだけでなく強みや得意なことにも目を向けられるようになって気持ちが楽になった、「言語聴覚士に出会えたことは幸運だった」と振り返ってくださいました。
失語症のある池田博之氏は、勤務先である東京海上日動の仕事の一環として、奥様と一緒に遠路はるばる名古屋からいらしてくださいました。目白大学で講義していただくのは今年で8年目となりました。
発症当初は「1~2カ月で治ると思っていた」そうですが、失語症はなかなか回復せず、苦しい日々だったとおっしゃっていました。しかし池田氏は「頑張ろう、頑張ろう」と言語のリハビリに取り組みながら復職、失語症がありながらも現在は社内だけでなく、全国の言語聴覚士養成校や各県の言語聴覚士会の学術集会での講演活動に飛び回っています。昨年度は埼玉県立高校PTA会長の研修会でも講演されたそうです。
池田氏は、言語聴覚士は「戦友」、もしかしたら「神様」かもしれない、とおっしゃいます。学生にも「言語聴覚士はつらい時に一緒に戦ってくれてうれしかった。失語症は一人ひとり違います。その人を理解するようにしてください。頑張ってください。」と温かく熱いエールを送ってくださいました。
1年生は当事者やご家族から貴重なお話を伺い、言語聴覚士の重要性を感じ、言語聴覚士への意欲がさらに高まったことと思います。当事者、ご家族講師の皆さま、本当にありがとうございました。
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失語症当事者の池田博之氏 -
たくさんの質問にお答えいただきました