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授業後は笑顔で記念撮影

12月5日(木)、保健医療学部言語聴覚学科の「地域言語聴覚療法」の授業で、失語症当事者である東京海上日動の池田博之氏と奥様が名古屋から来校、講義をしていただきました。
「笑顔の授業」は商標登録もされている、東京海上日動のダイバーシティや失語症の周知を目指した活動です。
池田氏は、営業職として国内外で精力的に仕事をしていた約9年前に脳梗塞を発症されました。身体面の影響は小さかったものの、失語症は非常に重度で、最初は自分の名前を言うことすらできなかったとのことでした。しかし、「万策尽きた後の最後の一手がある」という言葉を胸に、絶対に負けないという持ち前の粘り強さでリハビリテーションに取り組んでこられました。さらに、職場の方々の支援もあり見事に復職。今では、リハビリテーションのためにと上司の勧めで始めた「池田さんと話そう会」は、多くの社員の相談に応じる場ともなっているとのことでした。
しかし、失語症はなかなか完治するということのない後遺症です。池田氏は今でも、人の言うことが理解しにくい、言いたいことが思うようには話せない、書いてあることが十分には理解しにくい、文章を書くことにも困難があるそうです。
今回の講義の原稿も、奥様の支援のもと作成してくださいました。授業では、発症から現在までの経過についてお話しいただいた後、失語症のある方への具体的な支援についてグループディスカッションが行われ、学生の発表に対して池田さんから丁寧なコメントをいただきました。
池田氏は、失語症の理解が広がることへの期待、そして、言語聴覚学科の学生が一人ひとり症状の異なる失語症を抱える人たちの支援ができるようになることを期待している、と語ってくださいました。
学生が期待に応えられる言語聴覚士として巣立っていくことを願っています。