11月13日(水)に、看護学部看護学科と栃木県立小山高等学校の高大連携事業「進路探究プログラム」を実施しました。このプログラムは、高校の「総合的な探究の時間」を活用した小山高校独自の進路探究プログラムで、本学の保健医療学部が2021年、看護学部が2023年から協力・参加しています。
今回、看護学科では9名の高校生をインターンシップとして受け入れました。
参加した生徒の自己紹介書には、目指す職業について、小児科看護師、緩和ケア、助産師、救命救急士になり最前線で働きたい、大学院で専門看護師を目指したい、フライトナースにも興味がある、など将来展望がはっきりしており、高校での進路探究プログラムの成果がうかがえました。
今回のテーマは、日本人の死因の第4位、寝たきりの第1位である脳卒中を取り上げました。脳の解剖や発症のメカニズムを知り、脳卒中を予防する生活を学びます。また、自分や家族のいのちを守るために発症時の初期対応、『FAST』を身につけることが目標でもあります。
『FAST』とは、脳卒中の発症サイン(3つの症状)の頭文字をとったものです。「突然」顔の歪み(Face)、手に力が入らない(Arm)、呂律(ろれつ)が回らない(Speech)ことに気がついたら、時刻(Time)を必ず確認して、迷わず救急車(ACT FAST)を呼ぶ。このように脳卒中と思われる症状が見受けられた場合、すぐ病院受診してもらうための言葉でもあります。脳梗塞の場合、4.5時間以内に適切な治療を受ければ後遺症をほとんど残さず治る場合が多いので、"Time is Brain"といわれるゆえんがここにあります。
事前課題で「脳卒中」について調べ、脳卒中後遺症を持つ患者さんの体験記を読み授業に臨んでもらいました。プログラムの特徴は、看護を知ることに加え、『FAST』を素材に啓発劇を演じること。シナリオはオリジナルです。教員が脳卒中を発症(と仮定)、インターンシップを体験した生徒が『FAST』の症状を確認し、119番通報、到着後の救急隊員の動きを体現してもらうというものです。配役決めに始まり、セリフの読み合わせ、立ち稽古と、ここでも生徒たちの理解の速さに感心しました。
以下、プログラム終了後の高校生の感想を一部紹介します。
- 『FAST』を身につけて身近な人を救えるようにしたい。
- 高血圧や糖尿病が脳卒中につながることを知り今から生活を見直していきたい。
- 専門看護にどんなものがあるかもっと調べたい。
- 脳卒中を発症した場に居合わしたら意識レベルや状態を理解して救急隊の人にきちんと伝えられるようにする。
- 普段の高校生活では学べない専門的なスキルを身につける良い機会だった。
- 半日キャンパスで過ごしてみて楽しそうな雰囲気の大学だと思った。
各々が事前目標を十分に達成できた半日でした。校内の成果発表会で『FAST』の啓発劇を披露することを約束し、今回のプログラムは終了しました。