1月21日(日)、社会学部地域社会学科<地域・ひとづくりコース>主催による「第17回地域フォーラム」が開催されました。目白大学新宿キャンパス研心ホールを会場に、コースの学生、入学予定者ら100名近くの参加がありました。
今回フォーラムでは「サステナビリティ&ホスピタリティ」をテーマに、東京ミッドタウンマネジメント株式会社タウンマネジメント部カスタマーセンター長の小野田和弘氏を講師としてお招きし、東京ミッドタウンを事例とした持続可能なまちづくり、都市の再開発、地域活性化、人々の交流とにぎわいなどについて考えました。
ご存じのように、東京ミッドタウンは2007年3月、六本木で開業した巨大複合施設です。
六本木駅に直結し、近くには六本木ヒルズや国立新美術館などもありますが、東京ミッドタウンは単なるタワーマンションでも高層オフィスビルでもなく、ショップやレストランのほか、ホテルや美術館・会議室などの多機能施設が集約され、また都心にあっては貴重な広場や緑地帯を有しています。
さらにデザインとアート、イルミネーションに彩られた非日常的な空間を演出する一方で、日常のニーズを満たしてくれるスーパーや銀行・郵便局なども入っていて、隣接する公園や学校とともに、あたかも1つのまち、あるいは「まちの中のまち」のような新しい都市のカタチをみることができます。
プログラムでは、社会学部長・地域社会学科長代行の飛田満教授の開会あいさつ・趣旨説明につづいて、さっそく小野田氏より「選ばれ続ける魅力的な街づくり」と題してご講演をいただきました。
最初に、東京ミッドタウンが5つの建物に多様な機能を集約した複合施設であること(これが重要な点です!)が説明されました。
つづいてSDGsのゴールに紐づけながら、
①360年間壁に囲まれていた土地を「周囲に開かれた街」にしたこと、②緑地帯を管理し生態系を保護する「緑を大切にする街」であること、③パトロール活動や地域の環境美化、地域の住民とともに地域活性化をめざす「地域と一緒によくなる街」であること、④クレームを前向きに「ご指摘」ととらえ、どんな小さなことでも社内で共有し、複合施設ならではの日常✕非日常からくる「価値観のぶつかりあい」を乗り越えて、新しい価値を創造していこうとする「お客さまの声を大切にする街」であることが紹介されました。
そして社員・スタッフ研修の徹底、ベビーカーの刷新、礼拝スペースの設置、異文化研修の実施、ガーデンアーチの改修、各種サインの追加、館内各所の安全対策など、まさに「サステナビリティ」と「ホスピタリティ」を意識した、実に多くの取り組みと改善がなされていることが紹介されると、フロアの参加者一同、深く感心している様子でした。
このあと、質疑応答/意見交換の時間が設けられ、コースの学生たちや入学予定者からも的を射た鋭い質問が次々と出され、小野田氏には一つひとつの質問に丁寧にご対応いただきました。
日ごろよりアクティブラーニングを大切にする、いかにも<地域・ひとづくりコース>らしい有意義な学びの場となりました。
最後に、地域社会学科の赤木妙子教授より閉会あいさつがあり、プログラムは終了となりました。
<参加学生の声>
- ただ売り上げだけを考えるのではなく、どうしたら訪れる人が楽しめるか、どうしたら住んでいる人が暮らしやすいかを常に考えることが重要である。東京ミッドタウンでは、クレームや指摘をしっかり受け止め改善している。その姿勢が売り上げやまちの魅力につながっているのだと考えた。
- オフィスや住宅での収益だけでも8割あるのに、あとの2割も手を抜かず、お客さまファーストなのがすごいと思った。普通なら収益ばかりを気にするのに対して、東京ミッドタウンはどんな客層が来ても楽しめるように工夫しているところに感動した。今日のフォーラムは聞いていて興味深く学ぶことが多かった。
- 複合施設の運営にはさまざまな工夫があることが分かった。人が多く集まる場所ではトラブルがつきものであるが、東京ミッドタウンではほとんどの問題を最後までしっかりと解決しようとする姿勢が見て取れた。このことから運営者側と利用者側の信頼関係がきわめて重要であるとされているのだと考えた。
- 東京ミッドタウンはまちづくりのために環境への配慮や地域の人々に寄り添った取り組みをしている。人々が訪れたくなるまちづくりというものを初めて知ることができた。小野田さんのお客さまファーストのお考えと東京ミッドタウンの経営理念を学ぶことができ、非常に貴重な時間であったし学びを深めることができた。
- 地域・ひとづくりコースとして、ひとと地域、ひとと環境、ひとと会社というつながりを1つの事例として学ぶことができて面白かった。新しい視点を得ることができたので、今後の学びに生かしていきたいと感じた。
-
会場の様子 -
質疑応答の様子