社会情報学科の「現代の社会2(フードブランド・ケーススタディ)」は、食品業界の実務家をお招きし、実務におけるブランド戦略についてお話しいただく講義型の授業です。
12月1日(木)の授業は、ハウス食品株式会社 食品事業本部 食品事業一部 ビジネスユニットマネージャー 山本篤志氏をお招きし「バーモントカレー開発ストーリー」というテーマでご講演いただきました。
ハウス食品が初めてカレー商品を世に送り出したのは1926年でした。企業名もまだ浦上商店という名前の時代でしたが、この時に発売したのはルウカレーではなく、缶入りの粉末カレーでした。その後、紙箱入りの粉末カレーなどを開発したのち、1963年にバーモントカレーの販売を開始しました。
当時カレーは大人が食べる辛い汁状の食べ物でした。そのため、子どもたちに食べさせるために「牛乳を入れている」「りんごをすって入れている」との声が当時からあり、ここに新たなカレー市場があるのではないかとの思いから「子供でも食べられるカレー」の開発が始まりました。バーモント州に民間療法として伝わるりんご酢とはちみつを使った「バーモント健康法」に着目し、バーモントカレーと名付けられました。
講義では、発売後59年がたつロングセラーブランドの開発秘話について詳しくご説明いただきました。学生たちには馴染みのあるブランドであったため、講義後には多くの質問が寄せられました。
学生からは以下のような感想が寄せられました。
<学生の声>
- バーモントカレーがそれまでのカレーの常識を覆す新たな市場を築いたことを初めて知った。
- 昔はカレーが辛い食べ物であることを初めて知った。私は辛い物が苦手なので、その後バーモントカレーが生まれなければ、私はカレーを食べる機会がなかったかもしれないと思った。
- 「カレー=子どもの食べ物」のイメージがあったため、カレーが最初は大人の男性の食べ物だったと聞いて驚いた。
- 男性の食べ物のイメージだったカレーを、女性や子どもをターゲットにして新商品開発したという逆転の発想がロングセラー商品の誕生につながったのだと思った。
- ロングセラー化の仕組みとして「親から子へ」のループが考えられており、長期的に売っていくという視点が大切だと気づいた。