社会情報学科の「ファッションブランド・ケーススタディ」は、ファッション・美容業界などで活躍されている実務家をお招きし、マーケティングやブランドの事業戦略をお話しいただく講演型の授業です。
6月12日(月)はライオン株式会社の伊東良子氏と木原侑香氏にお越しいただき、同社の歴史と新規事業「by me」の開発秘話についてご講演いただきました。
ライオンといえば歯磨き粉や洗剤というイメージを抱く人も多いかもしれません。同社は131年の歴史において新たな事業を行っています。それが「香り」に着目したビジネスです。
同社が2023年にリリースした「by me」は、DNVB(※1)文脈のD2C(※2)に特化した事業で、専用のECサイト(※3)からAIを用いて「自分だけの香り」をカスタマイズし、柔軟剤・衣類ミストに用いるという、今までにない事業です。
伊東氏は、by meを開発するにあたり、従来のマスマーケティングでは一見効率が悪く思えるような手法でリサーチをしています。
例えば顧客にアンケートを採って情報収集するのではなく、自らInstagramを丹念に調べて、自社ブランドのファンとなってくれそうな顧客に手紙を送り、by meを商品化したそうです。
この一見すると遠回りの「顧客に寄り添う(『共創』する)」姿勢こそが、商品開発において大切なことだ、というお話をいただきました。
- ※1 DNVB(Digitally Native Vertical Brand):規模が小さな市場や、まだあまり開拓されていない市場において、商品やサービスを販売するブランドのこと。
- ※2 D2C(Direct to Consumer):中間流通業者を通さずに、自社のECサイトを通じて製品を顧客に直接販売すること。
- ※3 「by me」Webサイト
<受講生の感想>
- すてきなブランドだと思ったのと同時に、伊東さんの製品への思いや考えがすごくすてきだと感じた。
- エッセンスがあれば、無香料柔軟剤1つで毎日自分の気分に合わせて香りを変えられることや、香り×AIの融合に面白さを感じた。
- 伊東さんのようにSNSでターゲットを直接探し、更にそこから手紙を書くといった手法は一見アナログに思える方法だが、人の温かみを感じるものであり、さらにお客さまの心に響いたのだなと感じ、柔軟な発想に衝撃を受けた。
- マーケティングでは多くの人に売れるという視点で販売戦略を立てているのが一般的であると思っていたが、「by me」のようにターゲットを狭く絞り込み、そのターゲットに向けた戦略も一つのマーケティングであるということがわかった。
- 私を含め、私の友人も柔軟剤にこだったり、毎回購入する商品を変えたりする人が多いので、これは私の周囲の人間にはハマる!と確信した。