社会情報学科の専門教育科目「社会デザイン入門(担当教員:廣重剛史・土屋依子)」では、現代社会の諸課題の現状と課題について学んでいます。
本年度の講義では「住民参加のまちづくり」「子どもの孤立・貧困」「防災・災害対応」の3分野の専門家をお招きし、行政の立場からみた現状と課題をお話しいただきました。
住民参加のまちづくり~小田急線上部利用の事例から(第9回)
一般財団法人世田谷トラストまちづくり常務理事 小柴直樹氏
小田急線の地下化により生まれた「下北線路街(東北沢~下北沢~世田谷代田)」を事例に、計画段階からまちの運営に至るまでの住民参加・協働について講義いただきました。
「シモキタ」が行政や地域住民の方が何度も話し合いを重ねて現在の形になり、また、さまざまな地域活動に支えられているからこそ、緑豊かでにぎわいのある空間になっていることがわかりました。
世田谷区の職員として長年取り組まれてきたご経験から発せられた「誰も置き去りにしない街づくりの心得」も心に響きました。
子どもの孤立・貧困(第11回)
板橋区子ども家庭総合支援センター援助課長 鈴木香奈子氏
子どもの孤立・貧困・虐待の問題について、児童相談所長としての現場経験をふまえて、解説いただきました。
こども基本法や子どもの権利・子どもの意見表明などの法制度の基本や、 児童虐待のリスクとその問題構造、解決のための子どもを守る仕組みについての理解が深まりました。
児童虐待の事例からは、虐待を生み出さないためには、子どもだけでなく親の社会的孤立を生み出さない支援が大事であることがわかりました。
防災・災害対応(第14・15回)
野村不動産パートナーズ参与 / 元東京消防庁職員 磯部孝之氏
防災まちづくりにおける自助・共助・公助について、法制度や事例を交えてお話しいただきました。
消防の現場や、中越・東日本大震災の最前線で対応されたご経験も交えてのお話は、重みがありました。
学内で首都直下地震が発災した場合を想定して、発災直後の身の守り方から帰宅抑制期間の3日間を学内で安全に過ごす方法を学び、ともに考えました。
<受講生の感想>
- まちづくりの根底にある考え方や議論の仕方、子どもの問題の法律や支援、災害時の応急処置や避難後の過ごし方などを考え、気づく機会となった。社会にはそれぞれ必要な役割があり、さまざまな目的を持った人々の関わりがある。
- ボランティアという言葉で考えるとハードルが高く感じてしまうが、まちづくり・地域活性化のために気づいたことをそのままにするのではなく、行動することによってボランティアができるのではと感じた。
- この授業を通して、ボランティアや行政に任せるのではなく、自らが問題を認識(理解)し、解決する方法を考えることが重要と感じた。
- 災害やコミュニティ、ボランティア活動などにおいて、個人が努力するだけでなく、互いに助け合い、そして支え合うことが大切であり、地域全体で協力し合わなければならない時がこれからあることを知っておいた方が良い。